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活動停止してしまったヴィジュアル系バンド「セイレーン」のギタリスト・しのぶと、ヴォーカリスト・れいら。 寂しがりなふたりの、なにげない場面を切り取った掌篇集です。 「女の子と女の子が結婚する世界」を描いた二人誌『Wedding Invitation』収録の「ついの棲みか」と世界観を共有していますが、それぞれ独立したお話として読めます。
活動停止してしまったヴィジュアル系バンド「セイレーン」のギタリスト・しのぶと、ヴォーカリスト・れいら。
寂しがりなふたりの、なにげない場面を切り取った掌篇集です。
「女の子と女の子が結婚する世界」を描いた二人誌『Wedding Invitation』収録の「ついの棲みか」と世界観を共有していますが、それぞれ独立したお話として読めます。
仕様
2018年11月25日 初版発行 小説|文庫版(A6)|44頁|表紙用紙ファーストヴィンテージ(ターコイズ)白黒二色刷|本文用紙コミックルンバ(ピンク)
収録作
デスクトップPCのモニタで裸の女が微笑んでいる。いっけん違和感のない画像の、首から上はれいらだったが、首から下はどこの誰ともわからない少女の裸体であることが、しのぶには一目でわかった。 ――「あけがたの人魚」 「だれでもいいの? 相手」 ギターのしのぶが興味なさげに訊いてくる。れいらは首をかしげた。 「だれでもよくはない、かな? なるべく興味のないひととか、どうでもいいひとのほうがいいかな」 ――「あけがたのコンフェッション」 それでもキーはためらわない。静かに息をひとつ吸う。 背後からヘッドフォンを奪い取ると、しのぶは長い睫毛を二、三度瞬かせて目を開け、ゆっくりと頭をめぐらせた。 ――「午後四時の憂鬱」